この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道は無し
踏み出せば、その一歩が道となり、その一歩が道となる
迷わず行けよ、行けばわかるさ
ありがとーーー!!
ね、道と言ったらこれですよね。アントニオ猪木の「道」。
若いとき一生懸命覚えました。
どうにかしてウケたくってね。どうにかして猪木のモノマネマスターしたくって、詩なんか暗記した事ないのに、これだけはスラスラ覚えた思い出があります。
猪木のモノマネしながら道を朗読するっての流行ったな~
大爆笑だったよな~~
うん、若いときの記憶って輝いて上書きされているもんです、はい。
あれから10数年経ちました。
気が付けば「道」と言ったらこれ、
林道、もしは作業道。
これが今スラスラ出てくる道となりました。
いやーしかしディープな世界に入り込んだもんよねホント。
なに作業道って?普通に生きてたら絶対使わないワードだもんね。
「仏教には迷いあるものが輪廻する六つの世界があります。
天道…人間道…地獄道…修羅道…畜生道…そして作業道です」
とかお坊さん絶対言わないもんね。瀬戸内寂聴も知らないと思うもん作業道。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ、それが俺の作業道だってばよ!」
とか絶対ナルト言わないもんね。出来ればナルトに火影になってもらって、理想の作業道作って欲しいけど。
と言う訳で、宮崎は三股にある総合農林さんで「ドイツ式林業専用道」の講習に行って来ました。
林業専用道…つまり林業をする為の道、と言う訳ですね。
林業は木材搬出が最終段階としてある訳ですから、トラックが通りやすくて尚且つ作業がしやすい、そしてメンテナンスしやすく恒久的に使える道と言うのが必要になってくる訳です。
今日本にある林道や作業道とは少し、というか根本的に考え方が違う面が多々あります。
ます日本の林道や作業道は「建設業」の考え方がベースにあります。「林業」が前提にある訳ではありません。この時点で様々なズレがある事は容易に想像できますよね。
ま、ようは今日本にある林道や作業道では林業がやりにくい、そして持続的ではない、そう思って頂ければ良いかと思います。ただこれは一般的な話で、勿論日本全国津々浦々、自分の山や風土に合った道づくりをされている方もいらっしゃいます。
私も「渡川の山に合った道」を追及して行きたいと思っているので、自社の勉強会にも関わらず懇願して参加させて貰った訳なんです。
これがドイツ式の道です。
色々と違いはあるのですが、もっとも顕著な部分は道路の形状にあります。
日本の従来型は1枚目の写真にあるようないわゆる「軒(のき)型」。山側から谷川へ向け軒を下したように片方向に傾斜が付いています。
一方ドイツ式は「屋根型」。道の真ん中が盛り上がり、山側、谷川共に水が分散されるようになっています。
今回この「山の道」について、スイスフォレスターのロルフがデータと経験をもとに、ロジカルに話をしてくれました。
どちらもメリット・デメリットがあるので、一概に「ドイツ式が絶対良い!」という訳では無いのですが、ロルフ曰く「宮崎に適しているのは屋根型だ」と言いきってくれました。
急峻な地形、多い降水量、土壌、木材の搬出量、コスト、様々な条件を検証した上での一言に呻るものがありました。
特に一番は降水量にあるでしょう。
水を片方に寄せるのではなく、両方に分散させる。
最終的には谷側に水を排水する訳ですが、沢山の水を一度に流し込むのではなく、分散させて排出する事で道にダメージを与えない。これが大事みたいです。
簡単に言うと100Lの水を軒(のき)に流すと一気に斜面を流れ落ちて、地面を掘りこみますよね。それだけのエネルギーが軒と地面に与えられたという事。
次に屋根の頂点(三角の部分)から100Lの水を流します。右に50L・左に50L流れるのでエネルギーが分散されますよね、屋根にかかる負担も水が落ちる地面にかかる負担も半分になる訳です。更に直接地面に落とすのではなく、屋根に樋(とい)を付けて更に水とエネルギーを誘導しましょうというものなんです。
これまで日本、宮崎、そして渡川は「雨が多いっちゃから、道は崩れて当たり前よ」という考え方が一般的でした。
でもそうじゃないんですよね、「雨が多いからこそ崩れない道を作る」これがその地に住む為の努力だし、未来でこの地に住む次世代の為に今住む私達に課された使命だと思うんです。
だって道が崩れる事で与える影響っていうのは計り知れませんからね。森林、河川、生態系、人間、街、海、食物…暮らしに必要な全てのものに悪影響を与えていると改めて自覚しないといけないんです。目を背けるのを止めて、もう一度頭働かせ汗を流さないといけないんです。
危ぶむなかれ、
危ぶめば道は無し。
その一歩が道となり、その一歩が道となる。
行けばわかるさ。
ダーーーー!!
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